日本財団 図書館


 

[ケース事例6.難民認定された人からの相談]
条約難民として認定されれば、基本的に日本人と同等な保障が日本政府から与えられるが、難民という立場を憂慮した特別な保証や手当てなどはない。Aさんの場合は、生活保護を受給され、最低限度の生活はなんとか確保されている。彼の次の課題は、仕事を見つけ自立すること、及び本国にいる家族を日本に呼び寄せることであった。難民として認定されれば、彼の母国の状態が変化しない限りは、彼は二度と母国に戻ることができず、家族に会うこともできない。日本に入国する前から母国では度々投獄された彼は、家族と共た生活したことがほとんどなかった。彼にとって家族と生活することは大変重要なファクターである。
ISSJのソーシャル・ワーカーは、まず公共職業安定所に同伴し、就職先を探すことを手伝った。しかし、彼の日本語力の不十分さや高齢であることが障害となっていたり、母国ではハイクラスに属した彼の希望する職業との相違があったり、仕事を見つけることは困難な作業である。また、家族について在留資格認定証明書が不交付とされたので、家族呼び寄せに関して新たな入国方法を彼とともに模索している。家族のことを思い夜も十分眠れないという孤独な彼を、精神的な面からサポートしている。
[ケース事例7.難民認定を申請中の人からの相談]
Bさんは、ある民間清掃業社にパートタイムで勤務していたが、不況の影響で他の関連合杜に異動させられた。新しい仕事先は労働条件、賃金等が非常に悪くなり、生活を維持していくことが困難になった。彼はISSJに他の仕事を探すことを援助するように依頼してきた。ソーシャル・ワーカーは公共職業安定所に尋ねたが、不法滞在の彼に仕事が紹介されることは困難であった。さらにISSJと協力関係にある人を通じて仕事を探すことを試み、一旦は目途がついたものの、新たな問題が生じたため現在相談を継続している。
彼の家族はオーストラリアで難民として定住している。家族は日本での彼の生活が自分たちと比較して不安定であることを嘆いている。しかし本人は難民認定を長期間待ちわびながら日本で過ごしてきたので日本語も上達し、日本の習慣や環境に慣れ親しんできたので、このまま日本で定住することも望んでいる。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION